松戸市からRadiを借りてRD1706と比較してみました

先日松戸市からRadiを借りました。RD1706では自宅内の値が低すぎて場所によりきちんと計測できていないと思われたので、その確認が主な目的です。

予約

予約は047-704-3987(平日の午前8時30分から午後5時まで)に電話しました。貸出予約受付の初日に電話したのでかなりつながりにくかったです。でも、今ならきっとそんなこともなくつながるものと思います。

平日なら近くの支所で借りられるのですが、土日しか時間が取れないので市役所本庁での貸し出し、返却となりました。

計測、比較

色々用事があって計測時間はほとんど取れなかったので、自宅内のいつも計測している場所でのみ簡単に並べて計測してみました。

以下はいつもRD1706で0.09~0.15程度の値が出る場所(1階リビング)での比較です。

imageimage

image

Radiでは0.09程度の値で安定していましたが、RD1706の値はいつも通りかなりふらつきます。巷で言われている通り、「0.1以下ではきちんと測れない」状態であることが確認できました。

 

以下は1階よりも線量の高い2階のさらに2段ベッドの上の段です。

image

RD1706では0.15~0.18程度が表示される場所でRadiでは0.17程度で安定していました。このくらいの値であればRD1706でもそれなりに計測できていることにしていいように感じました。

 

一方以下は2段ベッドの下の段。

image

基本的にRadiの方が低い値が出るのかと思ってましたが、瞬間的にはRadiの方が高い値がでることもありました。最も、同じ場所で以下のような値の関係になるときも。

image

やはり、RD1706の値は平均化されているとはいえ、さらにそれを平均化して値を読み取る必要があるようです。

感想

今回Radiを借りて比較してみて以下のように思いました。

  • 線量計をかしてくれる松戸市に感謝。やっぱりありがたいです。
  • Radiの「10秒更新、過去60秒の平均」の表示はRD1706に慣れている身としては非常に快適。でも、「もっと反応速度が早ければもっと快適なんだろうな」と感じる。
  • RD1706は並べて比較するとRadiの良さが目立ってしまうけど、価格性能比を考えれば優秀だとあらためて感じる。
  • RD1706でも、表示の癖を理解して使えば十分に使える。でも、低い線量を図る場合にはやっぱり性能不足。

1階の線量に関しては0.1μSv/hを下回っていることが確認できてよかったです。2階の線量は高めですが、まぁ、この程度なら一応大丈夫だろうと思える程度にまで下がってきました。あと1年くらいは目に見える形でまだ値が低下するのでそれが待ち遠しいです。

放射線測定器比較

色々なものが汚染されてしまった現在、放射線量を測定しながら生活していくことがリスク低減のために重要になってしまいました。東葛ホットスポットでも濃縮された場所では1μSv/hをはるかに超えるような危険な線量もあちこちで観測されていますので本当に一家に一台の時代になってしまったと思います。

ですが、どのような機種がどのような用途に合っているのかなど、かなり専門的な知識が要求されるうえに、お値段もかなりします。おいそれと買えず、買ってから後悔してしまうケースも散見されます。かくいう私もとりあえず適当に選んでしまって若干後悔したりもしました。2台目の購入も考えており、自分のためにも機種の比較をしておこうと思います。

目的

放射線測定器に限らず何事にも言えることですが、まずは目的をはっきりさせる必要があります。それによって必要となるものが変わってきます。主な目的は以下のようなものがあると思います。

  • 自分の自宅や生活圏の放射線量をしりたい
  • 汚染されている場所を探したい
  • 除染の前後の値を知り効果を確認したい
  • 日々どの程度の被曝をしているのか積算を知りたい
  • 危険が迫った時にそれを知りたい
  • 食品の汚染を図りたい
  • 行政の計測値が本当なのか知りたい
  • 計測値をネットで公開したい
  • 同一地点の値の推移を記録したい

また、主に計測する場所により線量は大きく違いますので、自分の計測する場所によっても適切な機種が変わってきます。きちんと目的にあった機能を有したものを選びましょう。

計測器の種類とできること

まず、計測器には放射線を検知するために使われている材料にいくつか種類があり、それによって性能(=できること)に違いがあるということを把握する必要があります。色々と種類はあるようですが、一般人が入手可能なものとしては以下の2種類を把握しておけば良いようです。

GM菅

  • γ線およびβ線に反応(するものが多い)
  • 比較的安価
  • 低線量は苦手(0.1μSv/h以下は安定して測れない)

シンチレータ

  • γ線にのみ反応(するものが多い)
  • GM菅に比べて感度がよく計測値が安定する
  • 比較的高価
  • 低線量でも安定して計測できる

また、数は少ないですが、GM管以上シンチレータ以下という位置づけでシリコン半導体を使ったものも出てきているようです。

β線について

上記の違いを見ると、GM管はβ線の計測ができ、シンチレータではβ線の計測ができません。これだけを見ると「GM計数管の方が高機能なのでは?」と思うだろうとおもいます。私もはじめはそう思いました。が、実際にはそうではありませんでした。

  • β線計測可能なものは、空間線量を測るのには不向き
  • β線計測可能なものは、表面の汚染を確認する際に便利

ということになります。これを理解するために以下の2つを読んでいただきたいと思います。

β線含めて計測することでμSv/h表示の際の値は大きく本来の値からずれて、非常に大きな値が表示されてしまうわけです。そうすると本来の放射線量の値ではありませんから全く参考にならない値となります。β線も計測してしまうGM菅でも空間線量をあるていど正確に測りたい(β線を測りたくない)という時にはアルミで覆ったりするわけですが、正確にβ線が遮断できているのか不安に感じるでしょうし、いつもこのようにして測るくらいなら初めからβ線を計測せず、γ線のみを計測するシンチレータを利用した計測器をはじめから購入すべきということになります。

しかし、逆に考えてみるとβ線が存在する時に、その存在をよりはっきりと検知できるということになります。この特徴は汚染されている場所を発見するときや、除染した効果を確認する場合に非常に便利です。

また、両方を使い分けたい、という要望を満たすために

  • 計測器側でγ線のみを計測するモードとγ線とβ線の両方を測るモードが用意されている
  • β線を遮断するアルミ版が付属あるいはオプション購入可能

というような計測器も存在しています。

食品の測定について

残念ですが、基本的に個人が数万円で手に入れるような測定器では「ほぼ測定できない」というのが現実です。例外的に事故の直後に直接表面に放射性物質が付着してものすごく汚染されているものをβ線を含めてGM管で計測するようなケースでは汚染が確認できたと思われますが、現在ではそのようなケースはほぼ無いと考えていいと思います。

このことは、以下のページで@mikageさんが詳しく説明してくださっていますので、是非参考にされることをお勧めします。

ただ、個人で手に入るレベルの計測器でも、時間と手間をかければ簡易的に測定することは絶対に無理というわけでは無いようです。以下のキットが堀場から発売されるそうです。

使用する計測器はシンチレータをつかったPA-1000 Radiという機種です。定価で125,000円です。後述しますが、2000cpm/μSv/h程度と個人が入手できる計測器としてはかなり高感度なもので、小数点以下3桁表示する機種で水を入れてBGを5回測定して平均値をだし、食品も5回測定の平均値を出し、差分を自分で計算して出す…というかなり手間をかけての計測となるそうです(情報源はこちら)。カリウムという自然界に元から存在するものと合わせて380Bq/Kg程度が検知できる想定ということらしいので、簡易な測定ということになります。

同等以上の性能を持つMr.Gamma A2700でも、簡易的な食品検査が可能であろうという情報もあります。

繰り返しますが、10万円を超える価格の機種でこれだけ手間をかけてこの程度の精度ですので、数万円の計測器で「食品も計測可能!」というような安易な広告に騙されないようにしてください。

食品を計測するための機器は相当安いものでも100万円以上、通常手に入るものだと300万円程度はします。以下によくまとまっていますので、参考にしてみてください。数万円の機種で「測れる」というのははっきりいって詐欺です。

計測の感度、速度について

計測器は結局どの程度「正確な値」が表示できるのかということが重要になってきます。出てくる値が不正確であてにならないのではなんの意味もありません。同時にどの程度素早く計測できるのかということも重要です。正確な値はでるけど、表示までに1日かかります・・・ってのでは本当に限られた用途以外では使い物になりません。

この時に目安になるのがcpm/μSv/hという値です。cpmはcount per miniteの略で、1分間に放射線を何回検知したか(できるか)という値です。つまりcpm/μSv/hは1μSv/hの場所に計測器をおいた場合に、何回放射線を検知できる感度か、ということを表しています。この値が高ければ高いほど高感度で、正確な値を表示できることになります。

値を表示(更新)する速度に関しては、時間をかけて計測したほうが正確な値を表示することができます。ですが、値が正確になる一方で反応速度が遅くなってしまいます。どの機種も精度と反応速度のバランスを取るために色々と工夫をしているようですが、cpm/μSv/hの値が高ければ高いほど感度がよいということは製品選びの際には覚えておくと良いと思います。

GM菅で低線量が正確に測れない問題

低線量の場所で、GM菅を採用している計測器で正しい値が表示されない…ということが言われています。私も実際にGM菅を2本利用しているRADEX RD1706で計測していますが、体感的に0.1μSv/h以下程度の場所では正確な値が出ずに、0.08~0.12μSv/hあたりの値をふらつくように感じています。職場の先輩に借りたDoseRAE2では0.05μSv/hを表示している所で0.1μSv/h程度を表示し続けていました。

このあたりの挙動は自己ノイズや、そもそものGM菅の感度の問題があります。@mikageさんのページのシミュレーションを実行すると非常にわかりやすいです。

私が利用しているRADEX RD 1706で、0.05μSv/hの場所を計測した時の値をシミュレートしたのが以下の画像です。

image

かなりばらつきがあります。でも、シミュレーションの結果自体はかなり低い値も指しています。でも、実際にはこんなに低い値は一時的にも表示されません。RADEX RD1706の測定範囲はそもそも0.05~999.9μSV/hなので、内部のノイズの影響が大きいのだと思われます。

このように感度が低く内部ノイズが問題になるGM菅では、東葛ホットスポットであっても、よく掃除された木造住宅内やコンクリートの建物内では正確な値は計測できないと理解しておくことは大事だと思います。

もちろん高線量の場所では感度が低くても比較的正確な値が表示されますので汚染を探す目的では問題ありません。そこにβ線検知の話も加わってきますので、「汚染確認にはGM菅」「空間線量にはシンチレータ」ということがこの点からも言えることになります。

国民生活センターの調査

国民生活センターが比較的安価(10万円以下)な放射線測定器の性能調査を実施、結果を公表しています。

調査されている機種は以下のとおり。

  • AK2011
  • BS2011+
  • DoseRAE2 PRM-1200
  • DP802i
  • FJ2000
  • JB4020
  • RAY2000A
  • SW83
  • SW83a

結果は程度の差はありますが、残念ながらあまり芳しくない、という結果でした(個人的にはDoseRAE2の結果は許容範囲ではないかと思いますが・・・)。安かろう悪かろうの製品もかなり出回っているということの証拠ですので、機種選びには慎重になるのが良さそうです。

機種

以下に個人で手に入るレベルの価格帯(~15万としました)の製品でよく使用されている方を見かける製品の比較表を載せます。購入の際の参考にしてもらえればと思います。

機種名 検出方式 測定放射線 感度(cpm/μSv/h) 表示 機能 楽天,amazon最安値
2011/09/08
PA-1000 Radi シンチレーション γ線 1000以上
Cs137:2000
60秒の平均を10秒毎に表示 生活防水
95,000
Mr. Gamma A2700 シンチレーション γ線 1000以上
Cs134+Cs137:
3200
1分後から表示
60秒の平均を10秒毎に表示
エネルギー補償 135,000
DoseRAE2 シンチレーション γ線 ? 値が安定するまで5~10分かかる 積算機能
PC連携
33,500
Inspector+ GM管 α線
β線
γ線
Cs137:334 30秒平均を3秒毎に表示 119,800
Digilert 100 GM管 α線
β線
γ線
Cs137:100 60秒平均を3秒毎に表示 95,800
Monitor4 GM管 α線
β線
γ線
Cs137:100 アナログメーター 68,800
RADEX RD1503 GM管 β線
γ線
Co60:132 160秒平均を40秒毎に表示 25,880
RADEX RD1706 GM管 β線
γ線
Co60:132×2? 104秒平均を26秒毎に表示 39,900
RADEX RD1008 GM管 β線
γ線
100~300? 168秒平均を21秒毎に表示 積算
サーチモード
β線検知数表示
158,000
ECOTEST MKS-05 GM管 β線
γ線
Co60:132 1~70秒
50,000
SOEKS-01M GM管 β線
γ線
Co60:132? ~20秒 17,500
RDTX-PRO シリコン半導体 γ線 60 iPhone連携 未発売

RADEX RD1706について

私自身はRADEX RD1706を2011年5月15日に注文して6月23日あたりに受け取りました。その後、計測したり、除染活動の前後で値を確認したりしています。5万円と比較的安く購入できましたし、除染活動においては有用に使えています。実際に今になってスペック表を見てみても、悪くない買い物だったように思います。

少々表示の更新が遅いと感じることもありますが、RD1503に比べると倍近く早いですし、メカニズムや測定誤差を知った現在では平均化のアルゴリズムは悪く無いと感じます。他のGM管を使った機種で数値のブレが大きく、自分で平均化をしないと空間線量もきちんと把握できない…というものよりはずっと良いように思います。

1点だけ不満なのは低線量での計測がまともにできないこと。自宅の線量が結構下がってきて、ギリギリきちんと計測できていないような感じがあるのが、若干残念な感じです。この用途では別途シンチレーション式のサーベイメーターの入手が必須だと感じています。

個人的比較まとめ

この記事を書くにあたって色々と調べてみて個人的な結論めいたものとしては…

  • ガイガーカウンターは空間線量計測用としてはあまりあてにせずに、危険の察知とホットスポットでの除染活動に使うのが良い
  • 空間線量計測にはシンチレーション式の線量計を購入すべきで、cpm/μSV/hの値が高いものを選ぶべき

という、ごく当たり前のことを思いました。(でも、はじめにRD1706を選んだ時には全くわかっていませんでした。)

機種としてはガイガーカウンターは割りきって安いものでいいんじゃないでしょうか。SOEKS-01Mなんてすごく安いのでいい気がします。使っているGM管は標準的なものですので、性能的にもまぁまぁなはずです。これで自衛する。

その上でさらに空間線量をきちんと図りたいのであればちょっと奮発してPA-1000 RadiPA-1000 Radiを購入する。とはいえ、ホットスポットで外の空間線量を測るのならGM管でもそれなりの値がでるはずなので、自宅内を測って安心したい・・・という用途くらいになるかと思います。ただ、そう考えるとやっぱり価格が高すぎますね。だれか持っている人に頼んで測ってもらう程度でいいような気がします。

個人的には時間をかければきちんと低線量もある程度正確に測れるものが、5万円程度の価格で出てきてくれればそれを追加で買いたい、という感じです。(と、言いながらA2700が在庫ありだったらボタンを押してしまいそう・・・。)