航空機モニタリングの測定結果 汚染範囲は残念ながら非常に広い

文部科学省が実施している航空機モニタリングの結果が少しずつ公開されてきています。先日群馬県の測定結果が公表されましたが、あまりの汚染範囲の広さに正直な所ショックを受けました。

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埼玉、千葉、東京あたりは汚染されていて当たり前の感覚でしたが、新潟、長野、山梨あたりも場所によってかなり汚染されてしまっていそうな気がします。いや、もしかしたらもっと遠くも・・・。

オリジナルはこちらです。

同様に日本の広い範囲の汚染地図ということではnnistarさん作成の以下の地図が一番まとまっていると思います。まだ見ていない方は是非。

 

あらためてチェルノブイリ事故の際の汚染地図を見てみます。

「チェルノブイリは格納容器がない状態で爆発したから福島第一とは全く違う」ということはよく言われており、それはそのとおりだとは思うのですが、風に乗ればはるかかなたまで斑に飛ぶのは事実です。東日本だけと言わず、日本全国計測しておかないと危ないのではないでしょうか?

一方で、近い場所であっても汚染が低い所の目安がかなりつけやすくなってきました。東葛ホットスポットから抜けるにはやはり野田市の北のあたりが近くて低そうですね。早く千葉県、埼玉県あたりの結果も公開して欲しいものです。

今度から何処かに旅行をするような際には、この航空機モニタリングの結果とにらめっこして、汚染の低い所を選んで行こうと思います。そして手には線量計・・・ですね。

カリウム40とセシウム134, セシウム137の同じ所と違う所

「外部被曝に関しては人工放射線も自然放射線も同様のリスクで、東葛ホットスポットのレベルは世界的に見れば許容範囲だろう(マイクロホットスポットには気をつける!)、ただし内部被曝に関しては人工放射能と自然放射能は全く異なり外部被曝よりもはるかに危険。気を付けなくてはいけない。」これが以前からの私の(このブログの)スタンスです。

ではセシウム134、セシウム137の内部被曝とよく比較される自然界に元から存在する放射性カリウム40はセシウム134, 137とどこが同じでどこが違うのか、危険性はどのように判断できるのか。前からずっと疑問だったのですが今回まとめて勉強してみました。

まず、それぞれの核種の基礎知識から。基本的に以下からの情報の抜粋になっています。

セシウム134(人工放射能)

  • 半減期
    • 2.06年
  • 崩壊方式
    • β崩壊によりバリウム134となる(99.9997%)。この時に0.089~0.658MeV のβ線と0.563~1.365MeVの複数のγ線を出す。
    • 軌道電子を捕獲してキセノン134となる(0.0003%)。
  • 化学的、生物的性質
    • 体内摂取後の挙動はカリウムと似ている。
    • 体内に入ると全身に分布する。
    • 約10%はすぐに排出される。
    • 約90%は100日以上滞留する。
  • 外部被曝
    • 1mの距離に100万ベクレルの小さな線源があるとγ線により1日に0.0055mSv外部被曝する。
  • 内部被曝
    • β線が問題になる。
    • 10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は0.19ミリシーベルトになる。
  • 体内にある量
    • 成人の体内にあるセシウムの量は1.5㎎。カリウムの140gの約10万分の1。

セシウム137(人工放射能)

  • 半減期
    • 30.1年
  • 崩壊方式
    • 1.18MeVのβ線を放出してバリウム137となる。
    • 94.4%は0.514MeV のβ線を放出してバリウム137mを経由する。
    • バリウム137mから0.662MeVのγ線が放出される。
  • 化学的、生物的性質
    • セシウム134と同じ。
  • 外部被曝
    • 1mの距離に100万ベクレルの小さな線源があるとγ線により1日に0.0019mSv外部被曝する。
  • 内部被曝
    • β線が問題になる。
    • 10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は0.13ミリシーベルトになる。
  • 体内にある量
    • 成人の体内にあるセシウムの量は1.5㎎。カリウムの140gの約10万分の1。

カリウム40(自然放射能)

  • 半減期
    • 12.8億年
  • 崩壊方式
    • 1.31MeV のβ線を放出してカルシウム40となる(89.3%)。
    • 軌道電子を捕獲してアルゴン40となる(10.7%)。この時に1.46MeVのγ線が放出される。
  • 存在
    • 地球創生時に生成された。
    • 同位体存在比は0.0117%で、カリウム1gに30.4ベクレルのカリウム40が入っている。
    • 岩石中に多量に含まれる。玄武岩は262Bq/Kg程度。
    • 白米は33Bq/Kg程度。
    • 成人体内に140g(4000Bq)存在する。体内に常に同じ量存在する。
    • 1日の摂取量は3.3g
  • 化学的、生物的性質
    • 全身に広く分布
    • 生物学的半減期は30日とされている
  • 外部被曝
    • 1㎏のカリウムから1mの距離における年間線量は0.0055ミリシーベルト。
  • 内部被曝
    • 10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は0.062ミリシーベルト
    • 生殖腺や他の柔組織に対する年間線量は0.18ミリシーベルト、骨に対しては0.14ミリシーベルト。

β線の内部被曝の危険性について

私は今まで「人工放射性物質を呼吸や飲食によって体内に取り込んでしまい、それによってβ線で内部被曝をすることが非常に危険」という認識だったのですが、こうして調べてみると自然放射能のカリウム40によって生物は誕生以来ずっと外部、内部被曝をしてきたのですね。

成人の体内に約4000Bqある、ということなので、全身にたいして1秒間に4000発のβ線をずーっと受け続けている…というのは結構衝撃的な話ですね。生命ってすごいです・・・。

(余談ですが、このように体内のカリウム40の量がある程度一定であるため、ホールボディカウンタの検査結果でカリウムのベクレル数が4000程度かどうかを見れば計測結果が信頼できるものなのかそうでないのかがわかることになるそうです。)

一方セシウム、ストロンチウムなどは本来体内には存在しない・・・のですが、大気圏中核実験、チェルノブイリ事故等の影響で環境中にも体内にも微量がずっと存在していた・・・というのが現実で、そこからも内部被曝をしています。

カリウムの被曝量から危険性を判断する

カリウムは基本的に体内で一定量に保たれています。摂取すればその分排出される感じですね。でも、一時的に多くなる時も少なくなる時ももちろんあります。そのゆらぎによる被曝量の変化の大きさとセシウムを摂取した際の被曝量との関係を見ればある程度危険性の判断ができる・・・と主張されている方がいます。

放射性Csを摂取した内部被曝量をK40の摂取量に換算して安全性評価する話です。例えば10Bq程度のCs摂取はバナナ250g程度食べた時のK40による被曝の上乗せ分と考える。それなら気にしないでいいと判断可能。@Mihoko_Nojiri @J_TphotoSun Sep 25 07:58:36 via web

セシウムがどの程度蓄積されるか

一方で、セシウムはその半減期の長さ(約90%は100日以上滞留する)から微量でも蓄積されていってしまうという危険性があります。体内のセシウムの量をシュミレートしてくださっている方がいます。

上記は半減期を110日とし、体重70Kgの人が100Bq/Kgの食品を一度に200g(20Bq)食べる、という前提のグラフです。一度の摂取は微量でも体内に蓄積されていってしまう傾向がよく現れており、ここがカリウムとは決定的に違うところです。

3日に1回で見ると20Bq/Kgとなっており70Kgなので全身で1400Bq。この想定ではカリウムの4000Bqと比べるとそれよりは少ない値となります。少ないとはいえ上乗せになっているわけで・・・、これを多いと見るか、少ないと見るかは意見が分かれるところだと思います。

ICRP PUBLICATION 111. Application of the Commission’s Recommendations to the Protection of People Living in Long-term Contaminated Areas after a Nuclear Accident or a Radiation Emergency

上記はICRPの文書からの引用です。1日10ベクレル程度の摂取で体内に1400Bq程度までたまる事になっています。ICRPの実効線量係数を信じるならばセシウム134の経口摂取(1.9E-5[mSv/Bq])とすると1.9E-5×10×365=0.06935mSvの被曝ということになります。このくらいの被曝で収まるなら私なら許容できるかな、という感じです。カリウムからの被曝と比較してもそんなにおかしな値とは思いません。

成人の1日の平均摂取量は、飲料水1.65ℓ、牛乳・乳製品200g、野菜類600g, 肉・卵・魚500gだそうです。

水はかなり綺麗になっているので、それ以外で合計1.3kgを毎日食べるとすると、10Bq/Kgをちょっと下回る程度の汚染なら1日10Bq程度、ということになります。10Bq/Kgというと、ほとんどの検査の定量下限値よりも下になってしまいますので、やっぱりNDの食べ物しか食べたくないなぁということになります。一方大地を守る会の定量下限値は10Bq/Kg程度ですので、大地を守る会の放射能不検出カテゴリのものであれば福島産のものでも食べてOKというように考えることができます。(我が家は食べてます。)

過去どの程度のセシウムを食べていたか

(対数をやめて,リニアなグラフで)日本人は一日何Bqのセシウムを食べていたか:1960年代-2009年まで

@hayanoさんのツイートより。過去の日本の食事では5Bq以下しか摂取していなかったようですね。このくらいまで減らせれば過去の実績からもそれなりに大丈夫といえそうですね。放射能の影響を気にされる方は5Bq/dayあたりを目標におくのがよいような気もします。

いや、もっと危険性があるでしょう、という情報

ここまで書いてきたことは、そんなに変なことは書いていないつもりですが、結構「安全派」の考えになっていると思います。もっと危険性があるのでは、という情報は多数ありますので、それぞれ自分で確認し、独自の判断基準を持つことが必要だと思われます。

例えば以下のあたりは読んでおくことをお勧めします。

結論めいたもの

結論めいたものとしては結局無駄な被曝は避けたほうがいいので

  • 食材の産地を選ぶ
  • きちんと検査された食材を選ぶ

ということしかなく、カリウムとの比較なんてするまでもありません。そして、現在の汚染レベルであればきちんと選べば比較的安心できるレベルの被曝で抑えられそうだ、というように私は解釈しています。(問題は給食などの強制的に食べさせられるものですね。)

ただ、極端に被曝を恐れすぎて心配する必要がないことに心配してしまうようでは心が持ちませんので、こういうことも知識としては抑えておき、どうしてもしなくてはいけない(or したい)外食の時には無駄に心配しすぎずに食事を楽しめるようにしたいですね。心配する、しないで被曝量が変わることはありませんので。

5件のコメント

放射能検査された食材の入手元

現在嫁さんが妊娠中で買い物に行くのも一苦労…ということで、少し前からネットで食材を注文できる所を使っています。私からの放射能検査をしっかりやってくれている所を応援したいというリクエストを受け入れてくれて現在利用しているのは「大地を守る会」です。

ただ、放射能不検出のカテゴリだけでは必要な食材をすべて賄うことができない…ということらしいので、もう少し他の選択肢についてもまとめて調べてみようと思います。

※以下のまとめは主に放射能検査の観点からまとめています。食べ物ですので選択の際に観点は放射能検査だけでいいとは全く思っていませんが、このエントリではこのブログの趣旨と我が家の今現在のニーズ(私の気持ち)をふまえて…。

大地を守る会

不検出のカテゴリから安心して食材を選ぶことができて素晴らしいです。ただしお値段は高め…。

Oisix

調べてみましたが、残念ながら検査結果に産地公開なし、検出限界値、定量下限値の明記なし、すべて不検出というのも逆に信頼性にかける…ということで私はOisixは選ばないことにしました。せっかく検査体制を整えてやってくれているのに残念。

2011/09/15追記 @yoshiteさんからOisixに対しての以下のような情報を教えて頂きました。

東都生活共同組合

ゲルマニウム半導体を使った計測機で検出限界値2Bqという素晴らしい精度で計測してくれており、結果を見るだけでも参考になります。エリアの明記がサイト上に無いのですが、加入申し込みフォームで郵便番号を入力するとエリア内かエリア外かがわかるようになっています。我が家は残念ながらエリア外…(涙。

東都生活共同組合では、チェルノブイリ事故の時からゲルマニウム半導体での検査を実施しているそうです。こういうところは応援したいですね。

2011/09/15追記 確認した所、松戸市に関して現在の配送エリアは武蔵野線が境界になっているとのことでした。11月下旬には松戸市全域が対象エリアとなのでもうしばらく待ってください。ということでした。東葛の他の市について質問するのは忘れてしまいました!ごめんなさい!

らでぃっしゅぼーや

独自基準の設定にまで踏み込んでいる点、全品検査を行う点などはかなりポイントが高い。ただ、50Bq/Kgは幼児を抱える身には高すぎる値で事実上意味が無い・・・。結局自分で結果と商品の突き合わせを行う必要があるようですが、選択肢としては悪くなさそうです。


pal system

検査品目が他に比べて少ないのが残念です。

生活クラブ

  • 検出限界値: 5~60Bq/Kg
  • 基準値: 都度判断?
  • 検査体制: 不掲載?
  • 検査結果: 生活クラブ

検査品目は多いのですが、そのかわり検出限界がかなり高めになっています。

 

調べてみて

色々調べてみて、大地を守る会を選択したのは悪くない選択だったと思います。買えるようにしたいのは東都生活共同組合。ただしエリア外なのでおそらく無理ですね。次点はらでぃっしゅぼーやかなと思います。

しかし、ほとんどの所で、検査結果と注文画面とがリンクしていません。注文するときにその商品がまだ未検査(=産地で判断)なのか、何ベクレルなのか、不検出だったのか、すぐにわかるようにしてほしいですね。そのくらい技術的には簡単なんですから…。といっても作ってしまったシステムに別途手を入れて…というのが難しいのはわかりますが…。その点も大地を守る会はよく頑張っていると思います。ほかも負けずに追従してほしいです。

 

 

(以下2011/09/15追記)

グリーンコープ

@yoshiteさんに教えてもらいました。

  • 検出限界値: 1~5Bq/Kg
  • 基準値: 10Bq/Kg(※ただし、これ以上は全て供給をストップする…というわけではない。)
  • 検査体制: 東京都千代田区の「たんぽぽ舎」にある放射能汚染食品測定室に検査を委託
  • 検査結果: グリーンコープ

以前から脱原発の姿勢を打ち出しており、事故前から10Bq/Kgの基準値を採用していたとのこと!素晴らしいですね。宅配は関西のみですが、通販は日本全国に行っているそうです。

放射線測定器比較

色々なものが汚染されてしまった現在、放射線量を測定しながら生活していくことがリスク低減のために重要になってしまいました。東葛ホットスポットでも濃縮された場所では1μSv/hをはるかに超えるような危険な線量もあちこちで観測されていますので本当に一家に一台の時代になってしまったと思います。

ですが、どのような機種がどのような用途に合っているのかなど、かなり専門的な知識が要求されるうえに、お値段もかなりします。おいそれと買えず、買ってから後悔してしまうケースも散見されます。かくいう私もとりあえず適当に選んでしまって若干後悔したりもしました。2台目の購入も考えており、自分のためにも機種の比較をしておこうと思います。

目的

放射線測定器に限らず何事にも言えることですが、まずは目的をはっきりさせる必要があります。それによって必要となるものが変わってきます。主な目的は以下のようなものがあると思います。

  • 自分の自宅や生活圏の放射線量をしりたい
  • 汚染されている場所を探したい
  • 除染の前後の値を知り効果を確認したい
  • 日々どの程度の被曝をしているのか積算を知りたい
  • 危険が迫った時にそれを知りたい
  • 食品の汚染を図りたい
  • 行政の計測値が本当なのか知りたい
  • 計測値をネットで公開したい
  • 同一地点の値の推移を記録したい

また、主に計測する場所により線量は大きく違いますので、自分の計測する場所によっても適切な機種が変わってきます。きちんと目的にあった機能を有したものを選びましょう。

計測器の種類とできること

まず、計測器には放射線を検知するために使われている材料にいくつか種類があり、それによって性能(=できること)に違いがあるということを把握する必要があります。色々と種類はあるようですが、一般人が入手可能なものとしては以下の2種類を把握しておけば良いようです。

GM菅

  • γ線およびβ線に反応(するものが多い)
  • 比較的安価
  • 低線量は苦手(0.1μSv/h以下は安定して測れない)

シンチレータ

  • γ線にのみ反応(するものが多い)
  • GM菅に比べて感度がよく計測値が安定する
  • 比較的高価
  • 低線量でも安定して計測できる

また、数は少ないですが、GM管以上シンチレータ以下という位置づけでシリコン半導体を使ったものも出てきているようです。

β線について

上記の違いを見ると、GM管はβ線の計測ができ、シンチレータではβ線の計測ができません。これだけを見ると「GM計数管の方が高機能なのでは?」と思うだろうとおもいます。私もはじめはそう思いました。が、実際にはそうではありませんでした。

  • β線計測可能なものは、空間線量を測るのには不向き
  • β線計測可能なものは、表面の汚染を確認する際に便利

ということになります。これを理解するために以下の2つを読んでいただきたいと思います。

β線含めて計測することでμSv/h表示の際の値は大きく本来の値からずれて、非常に大きな値が表示されてしまうわけです。そうすると本来の放射線量の値ではありませんから全く参考にならない値となります。β線も計測してしまうGM菅でも空間線量をあるていど正確に測りたい(β線を測りたくない)という時にはアルミで覆ったりするわけですが、正確にβ線が遮断できているのか不安に感じるでしょうし、いつもこのようにして測るくらいなら初めからβ線を計測せず、γ線のみを計測するシンチレータを利用した計測器をはじめから購入すべきということになります。

しかし、逆に考えてみるとβ線が存在する時に、その存在をよりはっきりと検知できるということになります。この特徴は汚染されている場所を発見するときや、除染した効果を確認する場合に非常に便利です。

また、両方を使い分けたい、という要望を満たすために

  • 計測器側でγ線のみを計測するモードとγ線とβ線の両方を測るモードが用意されている
  • β線を遮断するアルミ版が付属あるいはオプション購入可能

というような計測器も存在しています。

食品の測定について

残念ですが、基本的に個人が数万円で手に入れるような測定器では「ほぼ測定できない」というのが現実です。例外的に事故の直後に直接表面に放射性物質が付着してものすごく汚染されているものをβ線を含めてGM管で計測するようなケースでは汚染が確認できたと思われますが、現在ではそのようなケースはほぼ無いと考えていいと思います。

このことは、以下のページで@mikageさんが詳しく説明してくださっていますので、是非参考にされることをお勧めします。

ただ、個人で手に入るレベルの計測器でも、時間と手間をかければ簡易的に測定することは絶対に無理というわけでは無いようです。以下のキットが堀場から発売されるそうです。

使用する計測器はシンチレータをつかったPA-1000 Radiという機種です。定価で125,000円です。後述しますが、2000cpm/μSv/h程度と個人が入手できる計測器としてはかなり高感度なもので、小数点以下3桁表示する機種で水を入れてBGを5回測定して平均値をだし、食品も5回測定の平均値を出し、差分を自分で計算して出す…というかなり手間をかけての計測となるそうです(情報源はこちら)。カリウムという自然界に元から存在するものと合わせて380Bq/Kg程度が検知できる想定ということらしいので、簡易な測定ということになります。

同等以上の性能を持つMr.Gamma A2700でも、簡易的な食品検査が可能であろうという情報もあります。

繰り返しますが、10万円を超える価格の機種でこれだけ手間をかけてこの程度の精度ですので、数万円の計測器で「食品も計測可能!」というような安易な広告に騙されないようにしてください。

食品を計測するための機器は相当安いものでも100万円以上、通常手に入るものだと300万円程度はします。以下によくまとまっていますので、参考にしてみてください。数万円の機種で「測れる」というのははっきりいって詐欺です。

計測の感度、速度について

計測器は結局どの程度「正確な値」が表示できるのかということが重要になってきます。出てくる値が不正確であてにならないのではなんの意味もありません。同時にどの程度素早く計測できるのかということも重要です。正確な値はでるけど、表示までに1日かかります・・・ってのでは本当に限られた用途以外では使い物になりません。

この時に目安になるのがcpm/μSv/hという値です。cpmはcount per miniteの略で、1分間に放射線を何回検知したか(できるか)という値です。つまりcpm/μSv/hは1μSv/hの場所に計測器をおいた場合に、何回放射線を検知できる感度か、ということを表しています。この値が高ければ高いほど高感度で、正確な値を表示できることになります。

値を表示(更新)する速度に関しては、時間をかけて計測したほうが正確な値を表示することができます。ですが、値が正確になる一方で反応速度が遅くなってしまいます。どの機種も精度と反応速度のバランスを取るために色々と工夫をしているようですが、cpm/μSv/hの値が高ければ高いほど感度がよいということは製品選びの際には覚えておくと良いと思います。

GM菅で低線量が正確に測れない問題

低線量の場所で、GM菅を採用している計測器で正しい値が表示されない…ということが言われています。私も実際にGM菅を2本利用しているRADEX RD1706で計測していますが、体感的に0.1μSv/h以下程度の場所では正確な値が出ずに、0.08~0.12μSv/hあたりの値をふらつくように感じています。職場の先輩に借りたDoseRAE2では0.05μSv/hを表示している所で0.1μSv/h程度を表示し続けていました。

このあたりの挙動は自己ノイズや、そもそものGM菅の感度の問題があります。@mikageさんのページのシミュレーションを実行すると非常にわかりやすいです。

私が利用しているRADEX RD 1706で、0.05μSv/hの場所を計測した時の値をシミュレートしたのが以下の画像です。

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かなりばらつきがあります。でも、シミュレーションの結果自体はかなり低い値も指しています。でも、実際にはこんなに低い値は一時的にも表示されません。RADEX RD1706の測定範囲はそもそも0.05~999.9μSV/hなので、内部のノイズの影響が大きいのだと思われます。

このように感度が低く内部ノイズが問題になるGM菅では、東葛ホットスポットであっても、よく掃除された木造住宅内やコンクリートの建物内では正確な値は計測できないと理解しておくことは大事だと思います。

もちろん高線量の場所では感度が低くても比較的正確な値が表示されますので汚染を探す目的では問題ありません。そこにβ線検知の話も加わってきますので、「汚染確認にはGM菅」「空間線量にはシンチレータ」ということがこの点からも言えることになります。

国民生活センターの調査

国民生活センターが比較的安価(10万円以下)な放射線測定器の性能調査を実施、結果を公表しています。

調査されている機種は以下のとおり。

  • AK2011
  • BS2011+
  • DoseRAE2 PRM-1200
  • DP802i
  • FJ2000
  • JB4020
  • RAY2000A
  • SW83
  • SW83a

結果は程度の差はありますが、残念ながらあまり芳しくない、という結果でした(個人的にはDoseRAE2の結果は許容範囲ではないかと思いますが・・・)。安かろう悪かろうの製品もかなり出回っているということの証拠ですので、機種選びには慎重になるのが良さそうです。

機種

以下に個人で手に入るレベルの価格帯(~15万としました)の製品でよく使用されている方を見かける製品の比較表を載せます。購入の際の参考にしてもらえればと思います。

機種名 検出方式 測定放射線 感度(cpm/μSv/h) 表示 機能 楽天,amazon最安値
2011/09/08
PA-1000 Radi シンチレーション γ線 1000以上
Cs137:2000
60秒の平均を10秒毎に表示 生活防水
95,000
Mr. Gamma A2700 シンチレーション γ線 1000以上
Cs134+Cs137:
3200
1分後から表示
60秒の平均を10秒毎に表示
エネルギー補償 135,000
DoseRAE2 シンチレーション γ線 ? 値が安定するまで5~10分かかる 積算機能
PC連携
33,500
Inspector+ GM管 α線
β線
γ線
Cs137:334 30秒平均を3秒毎に表示 119,800
Digilert 100 GM管 α線
β線
γ線
Cs137:100 60秒平均を3秒毎に表示 95,800
Monitor4 GM管 α線
β線
γ線
Cs137:100 アナログメーター 68,800
RADEX RD1503 GM管 β線
γ線
Co60:132 160秒平均を40秒毎に表示 25,880
RADEX RD1706 GM管 β線
γ線
Co60:132×2? 104秒平均を26秒毎に表示 39,900
RADEX RD1008 GM管 β線
γ線
100~300? 168秒平均を21秒毎に表示 積算
サーチモード
β線検知数表示
158,000
ECOTEST MKS-05 GM管 β線
γ線
Co60:132 1~70秒
50,000
SOEKS-01M GM管 β線
γ線
Co60:132? ~20秒 17,500
RDTX-PRO シリコン半導体 γ線 60 iPhone連携 未発売

RADEX RD1706について

私自身はRADEX RD1706を2011年5月15日に注文して6月23日あたりに受け取りました。その後、計測したり、除染活動の前後で値を確認したりしています。5万円と比較的安く購入できましたし、除染活動においては有用に使えています。実際に今になってスペック表を見てみても、悪くない買い物だったように思います。

少々表示の更新が遅いと感じることもありますが、RD1503に比べると倍近く早いですし、メカニズムや測定誤差を知った現在では平均化のアルゴリズムは悪く無いと感じます。他のGM管を使った機種で数値のブレが大きく、自分で平均化をしないと空間線量もきちんと把握できない…というものよりはずっと良いように思います。

1点だけ不満なのは低線量での計測がまともにできないこと。自宅の線量が結構下がってきて、ギリギリきちんと計測できていないような感じがあるのが、若干残念な感じです。この用途では別途シンチレーション式のサーベイメーターの入手が必須だと感じています。

個人的比較まとめ

この記事を書くにあたって色々と調べてみて個人的な結論めいたものとしては…

  • ガイガーカウンターは空間線量計測用としてはあまりあてにせずに、危険の察知とホットスポットでの除染活動に使うのが良い
  • 空間線量計測にはシンチレーション式の線量計を購入すべきで、cpm/μSV/hの値が高いものを選ぶべき

という、ごく当たり前のことを思いました。(でも、はじめにRD1706を選んだ時には全くわかっていませんでした。)

機種としてはガイガーカウンターは割りきって安いものでいいんじゃないでしょうか。SOEKS-01Mなんてすごく安いのでいい気がします。使っているGM管は標準的なものですので、性能的にもまぁまぁなはずです。これで自衛する。

その上でさらに空間線量をきちんと図りたいのであればちょっと奮発してPA-1000 RadiPA-1000 Radiを購入する。とはいえ、ホットスポットで外の空間線量を測るのならGM管でもそれなりの値がでるはずなので、自宅内を測って安心したい・・・という用途くらいになるかと思います。ただ、そう考えるとやっぱり価格が高すぎますね。だれか持っている人に頼んで測ってもらう程度でいいような気がします。

個人的には時間をかければきちんと低線量もある程度正確に測れるものが、5万円程度の価格で出てきてくれればそれを追加で買いたい、という感じです。(と、言いながらA2700が在庫ありだったらボタンを押してしまいそう・・・。)

食べ物がどの程度汚染されているのかを確認する(2011年8月)

先月(食べ物がどの程度汚染させているのかを確認する(2011年7月) – 東葛ホットスポットで放射能と戦う父親のブログ)に引き続き、8月の汚染状況を確認します。

…というか、先月参照したような、Excelで大量のデータがまとまっていて自分でグラフを作れるようなデータがみつかりませんでした。PDFのデータは毎日少しづつ出てるんですけどね・・・。

自治体の検査結果

北海道、岩手、宮城、山形、群馬、千葉、東京、神奈川、新潟、富山、長野、大阪、広島の結果が載ってます。かなりNDが多いです。個人的な感想を書いておきます。

  • 福島の牛肉等は全国に流通していて、放射能がまだまだ高いレベルで検出されている。
  • 岩手のシイタケは大丈夫っぽい。
  • 野菜の類はかなり値が落ちてる。宮城あたりも野菜は問題無いレベルになってきた感じ。
  • 宮城のきのこはまだダメ。
  • 宮城の原乳は5Bq/Kg以下、群馬の生乳は1Bq/Kg以下程度なので、仕方なく飲む分や牛乳の加工品などはそこまで気にしなくても大丈夫そう。
  • 福島、宮城あたりの水産物はもう、全然ダメ・・・。
  • 牛肉もかなり値が下がった。宮城、山形もほとんどNDになってきた。だけど、宮城県栗原市で200Bq/Kgも出ているなど若干値が出てる。農家によって大きな差がでている模様。まだ安心して食べられない。
  • 相変わらずお茶の値は高い。薄まるとはいえ、飲みたくない。
  • 米は全体としては思ったよりも大丈夫そう。ただし、一部汚染が確認されているので、外食には気をつける必要がある。

 

水産物

NDのものもありますが、あれもこれも汚染されていて、私としては引き続き食べられないレベルで汚染されていると言わざるを得ない状況です。魚の汚染のピークは半年~1年に来るらしいので、これからも長期間ダメだろうと思われます。

 

神奈川

神奈川で水揚げされた水産物にも汚染が確認されています。食べていいレベルとするかどうかは判断が分かれるところですね。他の選択肢があるなら選びたくない感じです。

全体

一次ソースがとてもみずらいので、転記ミス等はあるかもしれませんが、上記サイトを参考にさせてもらうと楽ですね。

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野菜類はやはり移行係数の高いものが汚染されている様子がよくわかります。きのこに注意!モモ、リンゴ、ブドウなどの果物も結構汚染されていますね・・・。

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魚介類はまんべんなく汚染されている感じです。うーん。

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そして、やはり牛肉の汚染が目立ちます。お茶もですね。

 

先月もう少し様子見…ということにしていた豚肉は8月の検査では1件福島県二本松市で13.4Bq/Kg出た以外は45件で全部不検出でした。まだ若干の不安はありますが、そろそろ安心して食べてよさそうです。

鶏肉も、鶏の卵も全て非検出。よしよし。

 

かなり汚染されているものが限定されてきました。現状汚染が深刻なのはきのこ、牛肉とやはり海ですねー。早く解消されますように。

ストロンチウム

そして、ついにストロンチウムが検出されました。(とうか、やっとまともに検査してくれました)

セシウム34に対して、ストロンチウム90が0.03という検査結果になっています。ストロンチウムはセシウム比べて危険性は10倍~100倍はある、といわれていますが、この比率であればちょっと一安心…と私は思いました。

 

まだまだ心配ごとはたくさんありますが、この様子なら継続的に戦っていける!と思いました。